こんにちは、倉敷市北畝の歩実塾です。
歩実塾の教室には、先生を呼ぶための呼び出しベルがあり、
わからない問題があれば、ベルを押して先生を呼べます。
質問するための仕組みは整っています。
それでも、なかなかベルを押せない子がいます。
問題を前にして手が止まっている。
ノートを見つめたまま、なかなか先に進めない。
それでも、先生を呼ぼうとはしない。
先生が声をかけると、「大丈夫です」と答えることもあります。
こうした子に対して、
「わからなかったらベルを押してね」と伝えるだけで、本当に十分なのでしょうか。
質問できる環境を用意することと、
子どもが実際に質問できることは、同じではありません。
質問することが苦手な子には、その子に合った学習サポートが必要です。
ベルがあっても、押せない理由
教室の隅で、ベルが静かに置かれています。
「わからないときは、押してね」。
そう伝えてあるのに、ある子のベルは、いつまでも鳴りません。
ノートを見ると、同じ問題の前で、ずっと手が止まっています。
鳴らないのは、やる気がないからではない
ベルを押せない理由は、いくつもあります。
・「こんな問題も?」と思われたくない
・先生が忙しそうで、遠慮している
・もう少し自分で考えてから、と思っている
・ベルを押すこと自体に抵抗がある
とくに最後の理由は、勉強が苦手な子ほど当てはまります。
文章題で手が止まっていても、
「文の意味」
「式の立て方」
「計算」
のどこで困っているのか、本人には整理できていないことがあります。
何を聞けばいいかわからないのですから、押せなくて当然です。
待つだけでは、時間が過ぎていく
質問する力を育てることは大切です。
でも、ベルが鳴るのをただ待っていると、
わからないまま時間だけが過ぎてしまいます。
同じところで止まり続けると、
「自分は勉強ができない」という気持ちまで強くなりかねません。
そこで、先生から見に行きます。
「どこまで進んだかな?」
「最初の式は作れそう?」
「今は自分で考えたい? それとも少しヒントがほしい?」
答えは教えません。
まず、どこまで理解できているかを確かめるだけです。
ただし、考えている最中に何度も声をかけると、集中をさえぎってしまいます。
表情、手の動き、進み具合を見て、タイミングを選びます。
質問する力が育つ、4つの段階
質問する力は、最初から備わっているものではありません。
多くの子は、次のような段階を踏みながら育っていきます。
段階1:先生に引き出してもらう
「問題文の意味はわかる?」
「何を求める問題?」
「式を作るところで困ってる?」
細かく確認されるうちに、自分の困りごとの場所が見えてきます。
段階2:先生が来たときに、言える
「式が作れません」
「この計算の続きがわかりません」
自分の言葉で伝えられるようになります。
段階3:自分でベルを押せる
「呼ぼう」と思えるようになった状態です。
困っていることに気づき、
助けを求めてもよいと感じられる経験が、
積み重なった結果でもあります。
段階4:調べてから、呼べる
教科書やノートを見て、それでも解決しないときに、
先生を呼べるようになります。
この変化には個人差があります。
すぐに進む子もいれば、時間が必要な子もいます。
「ベルを押せた回数」だけを目標にせず、
いまどの段階にいるのかを見てあげてください。
段階は行き来してかまいません。
調子の悪い日に、段階1に戻る子もいます。
ベルが鳴ったあとが、本番
ベルを押せたら、そこで完了ではありません。
解き方を教えてもらい、その場では解けても、
次に似た問題が出たら、また止まってしまうことがあるからです。
だから、説明のあとに確かめます。
「今の説明で、どこまでわかった?」
「次に同じ問題が出たら、どこから始める?」
そして、もう一度自分で解いてもらい、
質問の目的は、答えをもらうことではなく、
次は自分で解けるようになることです。
歩実塾から:ベルの向こうに、先生がいる安心感を
呼び出しベルは、質問のハードルを下げる道具です。
でも、道具を置くだけでは、子どもは変わりません。
押していい理由を伝え、押されたら必ず応え、押せない子には先生から声をかける。
使い方まで整えて、初めて、ベルは意味を持ちます。
歩実塾が大切にしているのは、
ベルを押せる子も、なかなか押せない子も、
一人ひとりの学習の様子を見ながら、必要なサポートを考えていきます。
「わからない」を我慢するのではなく、「わからない」から一歩ずつ前に進める。
そんな学びの経験を、子どもたちに積み重ねてほしいと考えています。