「日本製」と書かれたバスが、走れなかった理由
大阪万博が閉幕して、 半年が過ぎました。
あの華やかな会場の跡地に、 今、静かに並んでいるものがあります。
135台の、EVバス。
動かないまま、 鳥のフンをかぶって、 タイヤに車止めをつけられて。
歩実塾の塾長、瀧です。
この話を聞いたとき、 塾の先生として、 どうしても書かずにはいられませんでした。
何が起きたのか
万博会場の中や、会場と駅を結ぶ足として活躍していたEVバス。 中国の企業が製造したものをEVモーターズ・ジャパン社が輸入し、 大阪メトロが購入したものです。
合計150台。
ところが、
全国各地に納車された317台のうち、 点検で不具合が見つかったのは113台。 不具合率35%という数字でした。
そして万博閉幕後、
大阪メトロは「安全性が確保できない」として、 3月末に全車両を今後使わないことに決めました。
150台のうち、135台が運用できないまま放置。
これが今の現実です。
「日本製」という看板の裏側
驚いたのは、このバスの素性です。
これらの車両は「日本製」を謳っていましたが、 実際の製造は中国の3社が担っていました。 現地の関係者は「予算に合わせるため、 安い部品をかき集めてバスに仕立てている」と証言しています。
しかも、
製造元のひとつ、ウィズダム社のEVバスは「輸出専用」としてのみ製造許可を得ており、 中国国内で販売するための安全認証は取得していませんでした。
つまり、 中国では売れないものが、 日本に輸出されていた。
なぜ、こうなったのか
輸入EVバスの認証に関する審査が緩く、 多額の補助金が書類だけで出されていたことが 問題の背景にあると指摘されています。
補助金の仕組みが、 売る側にとって絶好のチャンスになっていた。
実績がほとんどない新興企業が 万博という巨大な舞台で一気に150台を受注する。
チェック機能が働かないまま、 税金が使われ、 バスが並び、 走った。
そして今、野ざらしになっている。
塾の先生として、思うこと
私は25年間、 子どもたちに向き合ってきました。
その中でずっと伝えてきたことが 一つあります。
「わからないまま進むな」
テストで答えが自信なければ、 見直す。
解き方が怪しければ、 立ち止まって確認する。
それが当たり前のことです。
でも今回の件を見ていると、 大人の社会で まったく逆のことが起きていたように感じます。
「よくわからないけど、 補助金が出るから進める」
「実績はないけど、 間に合わせなければならないから進める」
「問題があるかもしれないけど、 万博に間に合わせるために進める」
立ち止まって確認する人が、 どこにいたのか。
子どもたちへの宿題
福岡県の小学校に納入された「国内初のEVスクールバス」4台も、 不具合が多発し修理しても何度も壊れて、 結局返品されています。 「あまりにもトラブルが多く、安心して子どもを乗せられない」 と保護者が声を上げたことが 報道のきっかけになりました。
子どもたちを乗せるバスです。
安全かどうかを 一番最初に考えるべきものです。
それが「安い」「補助金が出る」「間に合う」 という理由で選ばれ、 走り、 止まった。
私が子どもたちに教えたいのは 計算の解き方だけではありません。
「おかしい」と思ったときに、 声に出せる人になること。
「なぜ?」と問い続ける習慣を持つこと。
目先の都合に流されずに、 大切なものを守れる大人になること。
135台のバスは、 そのことを静かに問いかけているように 私には見えます。
次の世代に、 この景色を繰り返させてはいけない。
塾長として、 そう強く思う春です。、塾長としての私の、 変わらない思いです。致する塾長でありたいと 改めて思う、新年度の春です。