Let’s Do This! 中学生のためのゲーム理論入門
こんにちは、倉敷市北畝の歩実塾です。
「自分が得をするには、どうすればいい?」
多くの人が自然に考えることです。
でも、相手も同じように考えていたら、
単純に「自分にとって一番得な方法」を選べばいいとは限りません。
こうした問題を研究する分野が「ゲーム理論」です。
囚人のジレンマ:協力したほうが得なのに、なぜ裏切る?
AさんとBさんが別々の部屋で取り調べを受けているとします。
2人とも黙秘すれば、それぞれ1年の刑。
2人とも自白すれば、それぞれ3年の刑。
片方だけ自白すれば、自白した側は0年、黙秘した側は5年になるとします。
2人とも黙秘すれば、合わせて一番軽い結果になります。
しかしAさんは「Bが黙秘するなら、自分だけ自白すれば0年で済む」と考えます。
Bさんも同じことを考えます。
結果、2人とも自白してしまい、どちらも3年になってしまいます。
「協力したほうが2人とも得なのに、相手を信用できないため、協力が難しい」
これが囚人のジレンマです。
文化祭の準備で「誰かがやってくれるだろう」とみんなが考えた結果、
誰も準備をしなくなる、という状況にも似ています。
トリガー戦略:まず信じて、相手を見て判断する
では、どうすれば協力できるのでしょうか。
ここで役立つのが「トリガー戦略」です。
「まずは協力する。相手が裏切ったら、それ以降は協力しない」
というシンプルな考え方です。
最初から相手を疑うのではなく、まず信じて協力し、
相手の行動を見ながら自分の行動を判断する。
これは「やられたら必ずやり返す」とは少し違います。
大事なのは、相手が協力してくれる限り、自分も協力を続けるという姿勢です。
一回きりのゲームと、繰り返されるゲーム
「今回が最後の勝負」なら、
裏切られる心配はいりません。
しかし「明日も同じ相手とゲームをする」なら話は変わります。
今日裏切れば、明日は相手も協力してくれないかもしれないからです。
10回ゲームをするとして、
1回だけ見れば裏切ったほうが得な場面があっても、
それによって相手が今後ずっと協力しなくなれば、
10回全体では大きく損をする可能性があります。
「今だけを見るか、未来まで考えるか」
これは勉強にも当てはまります。
ナッシュ均衡:「変えたくない状態」が最善とは限らない
ゲーム理論にはもう一つ、「ナッシュ均衡」という考え方があります。
簡単に言えば、
「相手の行動を前提にすると、自分だけ行動を変えても得をしない状態」
のことです。
囚人のジレンマで言えば、「2人とも自白」がこのナッシュ均衡にあたります。
しかし、2人とも黙秘したほうが、明らかに2人にとって良い結果です。
つまり、「誰も今の行動を変えたくない状態」と
「みんなにとって一番良い状態」は、必ずしも同じではないのです。
相手の「次の一手」を考える
ゲームで大事なのは、「自分は何をするか」だけではありません。
「自分がこうしたら、相手はどうするか」
「相手がそうしたら、自分はどうするか」と、
一段ずつ相手の考えを予想してみることです。
これは将棋やチェスにも通じる考え方であり、
現実の人間関係でも役立つ視点です。
最後の思考実験
もしあなたが、「必勝法」を見つけたとします。
でも、それを相手も同じように使えるとしたら?
その方法は、本当に自分にとって得でしょうか?
「自分 → 相手 → 自分 → 相手……」と、何手先も考えてみてください。
もしかすると、「相手に勝つ方法」より、
「相手と協力して、2人とも得をする方法」を考えたほうが、結果的に大きな利益になる
かもしれません。
それを考えるのが、ゲーム理論という「頭の使い方」の面白さなのです。
勉強にも「ゲーム理論的な考え方」が使える
ゲーム理論を学ぶ意味は、「ゲームで勝つため」だけではありません。
例えばテスト前。
「今日は疲れたから勉強しない」という選択もできます。
でも、「今日30分勉強したら、明日の自分が少しラクになる」
と考えることもできます。
つまり、「今の自分」だけではなく、
「未来の自分」もプレーヤーとして考える。
これも一つの思考法です。