壮大な思考実験から学ぶ「考える力」
こんにちは、倉敷市北畝の歩実塾です。
もし、あなたがタイムマシンに乗って1万年前の石器時代に行ってしまったら。
そこには電気も工場も電線もありません。
もちろん携帯電話もありません。
「だったら、自分たちで作ればいい」と思ったあなたは、
本当に携帯電話を作れるでしょうか。
携帯電話を分解してみると
この決断から始まるのは、
想像を絶する超壮大な「分解と遠回り」の旅です。
電池を作ろうとしたら、地球の歴史を掘り返すことになります。
携帯電話を動かすために、まずは「マンガン電池」を作ろうと考えたとします。
材料は亜鉛、二酸化マンガン、電解質。
ですが、1万年前の石器時代人に「マンガン採ってきて!」と言っても、
「マンガンって何?」で終了です。
・第一関門: マンガンや亜鉛の鉱脈を探し、鉱石を掘り出す。
・第二関門: 採れた金属で「電線」を作る。細く引き延ばす道具(金属加工技術)が必要。
・第三関門: 電線のショートを防ぐ「絶縁体(プラスチック)」を作る。
プラスチック(ベークライト)を作るにはホルマリン(化学物質)が必要で、
それを作るには温度管理のできる耐熱ガラスや化学の道具が必要…。
さらに、電波を扱うための「真空管」を作ろうとすると、
超高真空を作る「ヒックマンポンプ」が必要になり、
それを作るには超精密加工とガラス細工が必要になり……。
気づけば、携帯電話を作っていたはずなのに、
どんどん「火」や「土器」の時代まで掘り下げて戻っているのです。
あなたなら何から始める?(思考実験)
もしあなたが1万年前の世界で「通信手段を作れ!」と言われたら、
最初に何を作りますか?
・A とにかく気合で携帯電話を作る
・B まず「電池」を作る
・C 電線や道具のために「金属」精錬から始める
・D 金属やガラスを溶かす「かまど(炉)」を作る
・E 電話は諦めて、もっと簡単な通信方法を考える
正解は一つではありませんが、
現代の工学的なアプローチなら「D(かまど)」、
もしくは「E(別の通信方法)」になります。
発想を変えてみる:本当に欲しいものは何か
この思考実験の一番面白いポイントはここです。
あなたの本当の目的は、「ケータイ電話という機械を作ること」でしょうか?
それとも、「遠くの人と連絡を取ること」でしょうか?
もし目的が「遠くにいる仲間に危険を知らせたい」「連絡を取りたい」だけなら、
半導体も真空管も要りません。
・太鼓を叩く
・のろし(煙や火)を上げる
・鏡で日光を反射させる
「何を作るか(手段)」にとらわれず、
「何をしたいのか(目的)」に立ち返ること。
これが、複雑な問題を解決するときの最大の鍵になります。
歩実塾から:勉強にもつながる考え方
この「スマホを要素に分解していく思考」は、
日常の勉強や仕事の悩みにもそっくりそのまま使えます。
たとえば、「数学の難しい応用問題が解けない!」と頭を抱えたとき。
・難しい問題
・解くための公式を知っているか?
・公式を使うための基本パターンが頭に入っているか?
・そもそも途中の計算(繰り上がりや展開)でミスしていないか?
いきなり頂上の「携帯電話(応用問題)」を作ろうとしても挫折します。
まずは
「かまど(基礎の計算力)」や
「電線(公式の理解)」まで
問題を小さく分解し、
足りないステップを一つずつ埋めていけばいいのです。
これこそが「考える力」です。
歩実塾で大切にしている
「つまずいた所にさかのぼって学習し直す」という考え方も、
まさにこれと同じです。
わからないところをそのままにせず、
一段ずつ土台を積み上げていく。
それが、遠回りに見えて、実は一番確かな近道なのです。