有名な思考実験3選を小学生・中学生でも分かるように
こんにちは、倉敷市北畝の歩実塾です。
「理科は、実際に実験をしないと面白くない」
そう思っていませんか。
実は科学の歴史には、本物の道具を使わず、
頭の中で「もし○○だったら?」と想像するだけで、大きな発見につながった例がたくさんあります。
これを「思考実験」と呼びます。
思考実験は科学に限らず、トロッコ問題、アキレスと亀、シュレーディンガーの猫、水槽の中の脳、中国語の部屋、メアリーの部屋、モンティ・ホール問題、双子のパラドックス等…有名なものが数えきれないくらいあります。
今回は、小学生・中学生でも楽しめる代表的な思考実験を3つ紹介します。
① ガリレオ「重い球と軽い球をつないだら?」
当時の常識は、アリストテレスの「重いものほど速く落ちる」という考えでした。
例えば、10kgの鉄球と1kgの鉄球を同じ高さから落としたら、
「10kgの鉄球のほうが先に落ちる」という考え方です。
ところが、ガリレオ・ガリレイは、この考え方に疑問を持ちました。
ここで、頭の中で実験してみましょう。
2つの球をヒモでつないだら?
重い球と軽い球をヒモでつないで、一つの物体にします。
するとどうでしょう?
重い球は軽い球より速く落ちるはずです。
ところが、ヒモでつながっているので、
軽い球が重い球の足を引っ張って、全体の落下を遅くするはずです。
一方で、2つの球を合わせれば、もっと重い一つの物体になります。
すると今度は、「もっと重いのだから、もっと速く落ちる」はずです。
おかしいですよね?
「速く落ちる」のか、
「遅く落ちる」のか。
両方の考え方を同時に成立させることができません。
つまり、
「重いものほど速く落ちる」という考え方そのものに、おかしなところがあると分かります。
実際の落下運動では、空気抵抗を無視すると、物体の重さによらず同じ加速度で落下します。
ガリレオのすごさは、「本当に落としてみる」前に、
「頭の中で考えたら矛盾しないか?」
と考えたところにあります。
論理で常識を覆した、思考実験の力を示す傑作と言えます。
②ニュートン「リンゴが落ちた。では月は?」
アイザック・ニュートンはガリレオ没の約1年後に生まれました。
「リンゴが木から落ちるのを見て重力を発見した」と伝えられることもありますが、
ガリレオが落下理論の検証をやっていたことからわかるとおり、
物体が重力に引かれて落下することは、古代ギリシャのアリストテレスから知られていたとされています。
では、ニュートンは何を考えたのでしょう?
「リンゴも月も、同じ力で引っ張られている?」
リンゴは地面に落ちます。
なぜでしょう?
地球とリンゴがお互いを引っ張り合っているからです。
では、
月はなぜ地球に落ちてこないのでしょう?
ニュートンはここに疑問を持ちました。
ここがニュートンのすごいところです。
ニュートンは、
「もしかして、月と地球もお互いを引っ張っているのでは?」
と考えました。
月は地球に向かって落ち続けています。
でも、月には横向きの速さもあります。
そのため、
地球に落ち続けながら、地球の周りを回り続ける
と考えられます。
つまり、
月は「落ちていない」のではなく、「地球に向かって落ち続けているのに、地球の丸みに沿って外れていく」
と考えることができます。
「リンゴ」と「月」が同じ?
もしリンゴを地面に引き寄せる力と、
月を地球のそばに留めている力が、実は同じ「万有引力」という一つの力だとしたら。
この発想の転換こそが、ニュートンの最大の功績でした。
想像の中で、とても高い山の上に大砲を置き、地面と水平に弾を撃ち出します。
弱く撃てば、弾はすぐ近くの地面に落ちます。
強く撃てば、もっと遠くまで飛んでから落ちます。
途方もない速さで撃ったらどうなるでしょうか。
地球は丸いので、弾が前へ進むにつれて、
その下にある地面も丸みに沿ってゆるやかに下がっていきます。
もし弾が落ちる速さと、地面が丸く離れていく速さがちょうど釣り合ったら、
弾は永遠に地面に届かないまま、地球の周りを回り続けることになります。
これが「軌道」です。
弾は確かに地球に向かって落ち続けているのに、
地面そのものが丸く曲がって逃げていくので、いつまでも追いつけない。
月が地球の周りを回り続けているのも、まったく同じ理屈です。
③ アインシュタイン「光に乗ったらどう見える?」
最後は、20世紀最大級の物理学者、アルベルト・アインシュタインです。
16歳のアインシュタインは、ある不思議な疑問に悩んでいました。
「もし自分が光に乗って、手鏡を見たら、自分の顔は映るのだろうか?」
もちろん、人間が光に乗ることはできません。
だからこそ、頭の中で考えます。
光の速さで動いたら?
当時の常識(ニュートンの力学)では、
「自分が光と同じ速さで動けば、光は自分から見て止まって見えるはず」という予想になります。
しかし、
アインシュタインは
「止まった光」というものが、
そもそも存在しないのではないかと考えました。
この違和感が、のちに「特殊相対性理論」という新しい物理学へとつながっていきます。
光の速さで動く人から見ても、
光はちゃんと前に進みます。
そして、鏡にはちゃんと自分の顔が映ります。
これは、ボールや電車のような日常の速さの感覚とはまったく違う、不思議な性質です。
「光の速さは誰にとっても同じ」というルールを守ろうとすると、
時間や距離のほうが変わらなければならない
ことが分かってきました。
例えば、とても速く動いている宇宙船の中にいる人と、
地球で止まっている人では、
時間の進み方が少し違って見えるのです。
そしてそこから、
「時間や距離は、誰にとっても同じではない」
という、とても不思議な世界が見えてきます。
小学生・中学生に「思考実験」をすすめたい理由
思考実験には、大きなメリットがあります。
それは、
「正解を覚える」のではなく、
「自分で考える」練習になる
ことです。
例えば、
「重いものほど速く落ちる」
と教えてもらうだけなら、知識です。
でも、
「重い球と軽い球をヒモでつないだら?」
と自分で考えてみると、
「ん? おかしいぞ」
という疑問が生まれます。
そんな疑問を楽しむことが、科学や数学の入り口になります。