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辛口の裏にあった、深い愛情

こんにちは、倉敷市北畝の歩実塾です。

「枕草子」といえば、「春はあけぼの」で始まる、

上品で美しい随筆というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

ところが原文をよく読んでいくと、作者・清少納言(せいしょうなごん)の意外な一面が見えてきます。

それは、「憎げなり(=不細工)」や「下衆(=身分が低い)」という言葉をバンバン使って、

容赦なく人をぶった切る毒舌家でもあったということです。

教科書のイメージ
季節の美しさを、繊細な言葉で描いた上品な随筆
「をかし(=趣がある)」の文学として知られる、宮廷女性の教養書

意外と辛口だった清少納言

『枕草子』には、

「いとみぐるし(=とてもみっともない)」

「憎きもの(=しゃくにさわるもの)」

「あさまし(=あきれるほどひどい)

など、かなりストレートな表現があります。

現代の感覚では驚く内容もありますが、これは平安時代の価値観を知る資料でもあります。

当時の宮廷では、

・美しいもの

・上品なもの

・季節感

・和歌

・礼儀

が非常に大切にされていました。

清少納言は、その世界で生きていたからこそ、

「美しいものは美しい」

という価値観を強く持っていたのです。

当時の貴族社会では、美しさや教養が高く評価される一方で、

そうでないものへの評価は驚くほど容赦がありませんでした。

現代の感覚とはズレる部分もありますが、

それだけ清少納言が自分の美意識に正直だったとも言えます。

辛口の裏にあった、定子への深い愛情

ここまで聞くと、ただの毒舌家に思えるかもしれません。

しかし枕草子は、清少納言が仕えた中宮・定子(ていし)への深い敬愛から生まれた作品でもあります。

清少納言が定子を絶賛している段はたくさんありますが、

その圧倒的な愛が最も表現されているのは「うれしきもの」の一節です。

276段 (現代語訳)
身分の高い方の前に人が大勢いるとき、昔話でもいいし、
今聞いたことでもいいし、世間一般で評判になっていることでもいいし、
そのお方が話しているときに、私に目を合わせて話を進めてくれるのは、とてもうれしい

実際には定子の名前が出ていませんが、

清少納言はおそらく彼女のことを思い浮かべてこの文章を書いたと推測されます。

コンサートで、好きなアイドルと「目が合った!」と思ってしまう熱狂的なファンの気持ちのようです。

定子の悲劇と『枕草子』のきらめき

『枕草子』は清少納言が定子に仕えていた7年間の宮廷生活を基に書かれていますが、

定子が輝いていた頃の1年半に焦点を当てて、

その間に起きた出来事を中心に展開されています。

しかし、藤原道長が「1人の天皇に対して、1人の中宮」というルールを破り、

自らの娘を一条天皇の中宮に据えたことで、定子の生活は暗転します。

実家を火事でなくし、後ろ盾になっていた男性が次々と失脚して、

24歳の若さで、お産の後にあっけなく亡くなってしまう

その一生を振り返ってみると悲しい出来事の連続でした。

そして、苦悩を極めた定子の前に、清少納言が差し出したのが『枕草子』という新作でした。

そこには美しさと明るさが詰まっていて、温かい言葉がたくさん書かれていました。

辛口な冗談やユーモアの数々も、

定子を笑わせたいという気持ちの表れだったのではないかと考えられています。

千年前の人も、

好きなものには夢中になり、

嫌いなものには本音をぶつけ、

大切な人のために言葉を紡いでいました。

歩実塾から:1000年色あせない清少納言の美学

清少納言は定子が亡くなってからも、10年近く執筆を続けていたと言われています。

定子が輝いていた時代を記録として残すため、

あえて楽しい思い出だけを選んで書き綴り続けました。

「美しいものは美しい。かわいいものはかわいい。そして不細工は不細工。」

情け容赦は一切いらない。

それは清少納言が、そのすべてをささげた鉄則でした。

『枕草子』は、ただの古典ではありません。

1000年前に生きた清少納言が、「美しいものを見つける喜び」を私たちに伝えてくれる作品です。

古典は難しそうに見えますが、背景を知ると驚くほど面白く読めます。

ぜひ教科書の『枕草子』をもう一度開いて、「春はあけぼの」の先まで読んでみてください。

1000年前の人の感性に、きっと新しい発見があるはずです。

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岡山県倉敷市北畝2-3-45

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