鍵をかけない国だった日本が、変わっていく
――農作物の盗難、そして「住宅に侵入して殺す」時代へ
少し前まで、こんな光景が日本の当たり前でした。
農家が畑に出て、家の鍵は開けっぱなし。 近所のおじいちゃんが縁側で昼寝をしていても、誰も心配しない。 「うちの地域はみんな顔見知りだから」 そういう安心感が、普通に存在していた。
私が子どもの頃も、そうでした。
それが今、変わっています。
収穫前の農作物が、畑ごと消える
近年、農家の方々が頭を抱えていることの一つが、収穫前の農作物の盗難です。
収穫期を狙った盗難が多く発生しているのはもちろん、収穫期前でも油断できない状況が続いています。熟していない青い桃が大量に盗まれ、その後フリマアプリに出品された事例もあります。
山梨県ではシャインマスカット860房が2か月の間に盗まれ、障がい者の方々と協力して栽培した農家や、親の介護をしながら苦労して育てた農家も被害に遭い、大変な怒りと落胆を覚えたといいます。
京都府では九条ネギが約300キロ、茨城県では収穫前の梨が3200個盗まれる被害も報告されています。
種を植えて、水をやって、何か月も手をかけて育てた作物が、収穫の直前に根こそぎ持っていかれる。
農業は、時間との戦いです。 その苦労を、まるでわかっていない犯行です。
「外国人だから悪い」ではなく、「制度に問題がある」という話
農作物の盗難については、外国人による犯行が報道されるケースが目立っています。
山梨県警の担当者は「検挙実績から見ると、必ずしも外国人が多いとは言えない」としながらも、「その可能性も完全には否定できない」と述べており、実態の把握は難しいのが現状です。
ただ、背景として見えてきていることがあります。
外国人技能実習生をめぐっては、一部において劣悪な環境で酷使されているケースも存在し、失業や生活困窮に追い込まれた結果、農作物や家畜の窃盗といった犯罪に手を染めるという事件が増えています。
失踪した元ベトナム人技能実習生が不法滞在のまま犯行に及ぶケースもあり、外国人犯罪の3割以上がベトナム人で、窃盗だけで年間約2500件近く発生しているとも報告されています。
これは「外国人が悪い」という話ではありません。
日本が労働力不足を理由に外国人を受け入れながら、受け入れ後の生活保障や管理体制が追いついていないという、制度の問題です。
本来この制度の趣旨は「海外の労働力が先進的な技術を習得し、母国の発展を支援するためのもの」だったはずが、実態としては安価な労働力を確保する手段に置き換わっています。
つまり、入り口だけ開けて、中の整備をしていない。
その結果が、農家の被害につながっている面があります。
鍵をかけていても、殺される時代
そして、栃木県上三川町の事件です。
前回の記事でも書きましたが、午前9時すぎという白昼に住宅へ侵入し、住人の富山英子さんを刃物で突き刺して殺害した疑いで、16歳の少年4人が逮捕されました。目的は金品の窃盗だったといいます。
昔であれば「鍵をかけていれば安心」と思えました。
でも今は、鍵をかけていても侵入されます。 住人がいても、構わず入ってくる。 そして、鉢合わせたら、刺す。
日本は「安全な国」と言われてきました。 確かにそうだった。
でも、それが少しずつ、崩れています。
「安全な日本」は、自然にあったわけではない
私が25年間、子どもたちと関わってきた中で感じてきたことがあります。
日本の安全は、地域のつながりと、互いへの信頼で成り立っていた。
顔見知りがいる。 誰かが見ている。 悪いことをしたら、地域でわかってしまう。
そういう「目に見えない抑止力」が、日本社会を守ってきた部分がある。
それが今、薄れています。
都市化が進み、隣の人が誰かわからない。 SNSで繋がれるけど、顔も名前も知らない人と犯罪計画を立てられる時代になった。
外国人の受け入れ拡大は、それ自体が悪いわけではありません。でも、コミュニティの信頼関係を守る仕組みを後回しにして、人数だけ増やしていくことには、やはり問題があると思います。
私たちに、できること
「国の政策がどうにかなるまで待つ」という話ではありません。
今、私たちが地域でできることがあります。
近所に声をかける習慣を取り戻すこと。 不審な車や人物を見かけたら、すぐに通報すること。 子どもたちに、「知らない人からの仕事の誘いには絶対乗るな」と、繰り返し伝えること。
安全な日本を守るのは、警察だけではありません。
一人ひとりが、自分の地域を大切にする意識が、最後の砦かもしれない。
そのことを、今回の一連の事件を通じて、改めて感じています。