なぜ米が不足しているのに、“減反政策”を続けてきたのか?
塾長の“気づき”から
「日本で米が足りない」――そんなニュースを聞くと矛盾を感じてしまいます。
米は日本人の主食。なのに、米の生産をわざわざ減らす政策が長年続いてきたのです。
私も調べてみて、少しずつ背景が見えてきました。
背景その①:需要の変化
戦後、日本では米を食べる量が徐々に減ってきました。パンやパスタなど、他の主食が増えたからです。
そのため、米の余剰が問題となり、米の価格が下がることを農家の人たちが強く恐れていました。
米が余ると価格が暴落し、生産者が採算を取れなくなる――それが減反政策を生んだ大きな理由です。
背景その②:生産量の抑制と価格安定
政府は、米の生産面積を制限し(減反)、余剰米が市場に出過ぎないようにしてきました。
つまり、量を減らすことで「希少性」を保ち、価格を支える仕組みです。
これは一見、「少ない量でも価格を維持する」ための工夫ですが、長い目で見ると“米が足りない”という事態を生むリスクも孕んでいました。
背景その③:構造的な歪みと最近の混乱
生産を抑えてきた結果、田んぼをやめる農家、農業を継ぐ若者がいないという問題も起きています。
更には、2023年の異常な高温や2024年の観光客増などが重なり、米の供給がさらにひっ迫しました。
つまり、「米が足りない」という状況の裏には、減反という政策の長期的な影響もあったのです。
学習での気づき:なぜ“表だけ”ではなく“裏側”を見るべきか
この米と減反の関係を見て、私が教育者として思うのは――
子どもたちにも「物事の表面だけで判断しない力」を育ててほしいということです。
例えば、テストの点数。
点数が低いとき、「この子はダメだ」と決めつけるのは簡単です。
でも、その裏には「基礎が身についていない」「興味が持てていない」「家庭の事情で時間がない」など、複雑な原因が隠れていることがあります。
「減反政策」という“難しい問題”を通じて、
子どもたちも「なぜこうなっているのか」「誰にとって得・損か」「何を変えたらいいか」を考える習慣を持てたら良いと思うのです。
私たちの役割として
塾では、知識だけを教えるのではなく、こうした「考える力」を育てていきたいと思っています。
米の話も、社会の仕組みを学ぶ教材になりうるのです。
「どうして米が足りないのに減らしてきたのか」「これは誰のための政策か」――そんな疑問を共有できる場が、学びの深さを作ると思います。